【11月6日AFP】先日、仏パリ(Paris)で開催されたチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ(Salon du Chocolat)」では、「試してみないかい? チョコレートのすし…みたいなものだよー!」と、ローチョコレートのテイスティングを呼び込む声が響いた。

 一部からは「スーパーフード」とも称されているローチョコは、チョコレート界の最新のトレンドだ。

 ローチョコに使われるココアは普通のチョコより低い温度に加熱されるために、健康によいとする向きもあり、鉄分や亜鉛、マグネシウム、銅などの栄養分が豊富。抗酸化作用も期待できる。

 パリ郊外モントルイユ(Montreuil)のに拠点を置くショコラティエのフレドリック・マール(Frederic Marr)さんによれば、最近の製造プロセスの改良で味も良くなったという。「歴史的にローチョコの味は良くなかった。栄養をとるために消費されることが多かったため、その製造方法にはあまり注意が払われることはなかった。だが質の良いローチョコが、フランスをはじめとする、味を気にする国々で成功を収め始めた」

 市場調査会社ユーロモニター・インターナショナル ( Euromonitor International )の栄養学のアナリスト、ローレン・バンディさんは、ローチョコはまだニッチ市場ではあるが、ここ数年で人気が徐々に上がっていると説明する。

 バンディさんによると一般のダークチョコレートの全世界での売上高は、過去5年間で計14億ドル(1595億円)増加。毎年約7%ずつ増えているという。「多くの消費者がダークチョコを購入するのと同じ目的でローチョコを購入している。もしダークチョコの売り上げが、ローチョコの潜在性を測る指標となるなら、ローチョコの見通しは明るい」

 ローチョコの価格は、45グラムのバーが約5ユーロ(711円)と、他のタイプのものに比べると高額だ。それでも英ローチョコカンパニー(Raw Chocolate Company)のクリス・マグゴワンさんは、生産地や成分表示が明確なら多少高額でも消費者は購入するとみている。「おそらく過去10年で、消費者は自分たちが買うものについてこれまで以上に注意を払うようになった。食べ物をめぐるスキャンダルが続いたため、人々は大企業への信用をなくした」

 ただローチョコへの注目が集まる一方、栄養素を摂取する目的でこの食品に頼ることは避けた方が良いとの意見もある。「チョコの栄養に期待できるのは、大量に摂取したときのみ」と指摘するのは栄養コンサルタントのローラン・シェバリエ(Laurent Chevallier)氏。健康面からみればチョコに含まれる抗酸化物質など「微々たるもの」と述べている。

「適度な量のチョコレートを食べても栄養面での恩恵はない。だが大量に食べれば太るだろう」

(c)AFP/Anne-Laure MONDESERT