【11月4日 AFP】イラク西部アンバル(Anbar)州で2日、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が、同組織に敵対するスンニ派のアルブ・ニムル(Albu Nimr)部族民を少なくとも36人殺害したことが分かった。同部族の指導者と当局者が3日、明らかにした。

 部族指導者によると、犠牲者には女性4人、子ども3人が含まれていた。一方、地元警察幹部は殺害された人数を50人としている。

 部族指導者は、部族の1000人以上が行方不明になっているとした上で、アンバル州では混沌(こんとん)とした状況の中で住民の大規模な避難が続いており、これらの人々がイスラム国に拉致されたかどうかは分からないとしている。一方の警察幹部は、イスラム国が部族民1000人を拉致し、毎日50人ずつ殺害しているとの情報があると話している。

 部族指導者は、イスラム国がアルブ・ニムル部族の「処刑」を命じるファトワ(イスラム法学者が宗教的な立場から出す見解・判断)を出したと話している。「処刑」の対象には乳幼児も含まれているという。

 同部族で殺害された人数は情報源によって異なっており、2日の「処刑」を含めた死者数は250人以上とも400人以上ともされている。

 イスラム国はアンバル州の大部分を制圧しており、一連の部族民殺害事件は、同州奪還において重要な役割を果たす強力なスンニ派部族の抵抗を抑える狙いがあるとみられる。

 シリア、ヨルダン、サウジアラビアとの国境地帯から首都バグダッド(Baghdad)の西にまで広がるアンバル州ではここ数週間、親イラク政府派の部隊の敗北が続いており、州全体がイスラム国の手に落ちるのではないかと警戒する見方もある。(c)AFP