【11月3日 AFP】国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」は2日、産業革命後の世界の気温上昇を2度未満に抑えるために残された時間は刻々と少なくなっており、現状の炭素排出量が続くと大災害につながる可能性があると警鐘を鳴らした。

 地球温暖化に関する最新の第5次統合報告書を発表したIPCCによると、3種類の主要温室効果ガスの排出量は、マンモスやマストドンが地球上を歩き回っていた80万年以上前以降で最高の水準に達しているという。

 現在、地球は2100年までに産業革命以前と比べて4度以上の気温上昇に至る道を歩んでおり、現状のままでは干ばつ、洪水、海面上昇、生物種の絶滅などの事態の悪化を招く可能性が高いとIPCCは警告する。また貴重な資源の奪い合いの中で、多くの人々は住む家を失い、飢えや紛争に直面する恐れがある。

 9月に気候サミットを主催した国連の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は「気候システムに対する人間の影響は明白で、明らかに増加傾向にある」と指摘する。

 同事務総長は「その破壊的リスクは大きくなり続けている。このような事態を避けたいと思うなら、決断力を持って速やかに行動しなければならない」として、炭素排出への取り組みは高くつくというのは「作り事」だと述べた。

 報告書は、よりクリーンなエネルギー源への切り替え、エネルギー消費効率の削減、その他の炭素排出量軽減措置の実施などは、気候による損害のコストに比べるとはるかに安価だとした。

 これらの対策は、今なら低コストで実現できるが、2030年以降までずれ込むと、未来の世代にかかる費用負担が大きく膨らむ上、気候の危機的状況も加速すると考えられる。

 排出量を低減するためのさらなる措置を講じなければ、「今世紀末までの気温上昇は、広範囲の深刻で不可逆的な影響が地球全体に及ぶ、非常に高いリスクにつながる」と報告書は指摘している。(c)AFP/Soren Billing