【11月3日 AFP】ウクライナ東部で2日、同国からの分離独立を掲げる親ロシア派が、独自に指導者らを選出する「選挙」を実施した。親露派の指導部が圧倒的勝利を収める見込みで、ウクライナ政府はこれを「茶番」と非難。ウクライナ情勢をめぐる国際危機がいっそう高まる恐れが出ている。

 ドネツク(Donetsk)州で行われた「大統領」選挙では、投票終了後に親露派が発表した出口調査の結果によると、親露派が一方的に樹立を宣言した「ドネツク人民共和国(Donetsk People's Republic)」の「首相」とされるアレクサンドル・ザハルチェンコ(Alexander Zakharchenko)氏が81%を獲得する見込み。

 ルガンスク州での選挙に対しては、同じく親露派が実効支配する隣のルガンスク(Lugansk)州の選挙とともに、ロシアが支持を表明している。これら選挙は、両州で樹立が宣言された2つの共和国の大統領と議会を選出するもので、武装蜂起で掌握された2つの主要産業都市に対する親露派の実効支配にある程度の正統性を付与するものとされているものの、候補同士の競争はほとんどなく、開票結果もほぼ予想通りになるとみられる。

 ウクライナのペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領は、親露派の独自選挙は「戦車と銃砲の下で行われている茶番」だと激しく非難。ロシア政府に対し、選挙結果を容認するとの姿勢を撤回するよう求めた。またウクライナ保安庁も、分離派の選挙を「権力奪取」と呼び、犯罪捜査を開始すると表明した。

 ウクライナ、ドイツ、フランスの各国首脳は、10月31日に行われたロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領との4者電話会談で、同大統領に対し選挙を容認しないよう要求した。また米ホワイトハウス(White House)も同日、選挙は「違法」とみなすと言明している。(c)AFP/ Nicolas MILETITCH with Max DELANY in Kiev