■「きれいに解決することなど何一つない」

 レシュマさんの親族たちは借金をして治療費をかき集めた。だが医師によると、多くてあと10回は手術が必要だという。「それが終われば、状況はいくらかましになると思う。けれど何一つとしてきれいに解決などしない」とレシュマさんは語った。家族は、レシュマさんが狙われた理由は美しい容姿と人気だったと考えている。

 北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州の実家で酸をかけたのは、レシュマさんの姉、グルシャンさんの夫だった。家族によればグルシャンさんの夫は逮捕・投獄されたが、襲撃グループの一員だった未成年は金を払って保釈され、別の2人は今もなお捕まっていないという。「警察は何も言わないし、何の捜査しない」とレシュマさんは訴える。

 インドは昨年、酸攻撃を禁錮10年以上の刑が科される犯罪として個別に定めた。だが裁判は決着がつくまで何年もの時間がかかる。特に北部の州では「警察はあまり協力的でなく、警察が家族に告訴内容を変更するよう働きかけた事例も複数聞いている」と、酸攻撃の被害者を支援するボランティア団体「メイク・ラブ・ノット・スカーズ(Make Love Not Scars)」のバギラス・アイヤル(Bhagirath Iyer)氏は語る。

■クラウドファンディングによる支援

 政府による支援のなさにいら立った活動家たちは、インターネットのクラウドファンディングを通じた被害者支援の募金活動を始めている。

 メイク・ラブ・ノット・スカーズは、クラウドファンディングサイト「インディーゴーゴー(Indiegogo)」にレシュマさんのためのウェブサイトを立ち上げた。治療費の金額には届かないが、当初の目標は2200ドル(約24万円)に設定した。アイヤル氏によると、寄付は国外在住の裕福なインド人から届くことが多いという。アイヤル氏らは現在、マイクロブログのツイッター(Twitter)でインドの有名人たちにメッセージを「一斉送信」して、この問題への関心が広まることを目指している。

 今の自分の顔は「とても怖い」と言うレシュマさんは、治療を完了させ、襲撃者たちに法の裁きが下されることを待ち望んでいる。

 レシュマさんのためのキャンペーンサイトは、https://www.indiegogo.com/projects/support-acid-attack-survivor-reshmaでアクセスできる。
(c)AFP/Rachel O'BRIEN