【10月27日 AFP】太平洋とカリブ海を結ぶ400億ドル(約4兆3000億円)規模の運河事業を計画している謎めいた中国の大富豪が、今度は衛星ネットワーク構築の野心を抱き、宇宙へ手を伸ばそうとしているという。

 26日の報道によると、40代にして推定資産価値61億ドル(約6600億円)、米経済誌フォーブス(Forbes)の長者番付の224位にランキングされている王靖(Wang Jing)氏は昨年、中米ニカラグア政府から50年間のカリブ─太平洋運河の建設・運営の権利を獲得した。

 その王氏が所有する企業の一つで、通信機器メーカーの信威通信産業集団(Xinwei Telecom Enterprise Group)が前月、試験衛星を打ち上げたと発表した。中国紙・新京報(Beijing News)によれば、政府が厳格に管理し、軍が大半を運営している中国の宇宙産業に民間企業が参入するのは同国初となる。

 王氏は中国政府とのつながりは一切否定しているが、報道によれば、王氏が所有する車には軍のナンバープレートがついており、保有企業の一つでは日に2回軍歌を流し、この企業のロビーには中国の指導者たちが訪問した際の写真が飾られているという。

 エリート校である北京(Beijing)の清華大学(Tsinghua University)と共同開発したという信威通信の衛星は、現在外国の衛星に頼っている中国の海域や砂漠地帯に、より安価な通信手段をもたらすものとして期待されている。王氏によれば、同大との協力でさらに4機の衛星を開発し、今後10年で「衛星群」を配置すると意気込みを語っている。(c)AFP