【10月27日 AFP】米ニューヨーク(New York)州当局は26日、エボラ出血熱が猛威を振るう西アフリカから到着する人の扱いに関する新施策を緩和し、強制的な隔離措置の対象を感染者への接触があった人に限定すると発表した。

 ニューヨーク、ニュージャージー(New Jersey)、イリノイ(Illinois)の3州は、ニューヨーク市で先週、ギニアでエボラ出血熱患者の治療に携わり帰国した医師にエボラウイルスの陽性反応が出たことを受け、西アフリカから帰国する医療従事者全員を3週間隔離する措置を導入。さらにフロリダ(Florida)州も、同期間の毎日2回の検診を命じた。

 だが、これら厳格な隔離措置には批判が集中。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、バラク・オバマ(Barack Obama)政権の高官らは、ニューヨークとニュージャージー両州の知事らに対し隔離措置を撤回するよう働き掛けていた。

 高まる圧力を受け、ニューヨーク州のアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)知事は26日夜、西アフリカのエボラ熱流行国から同州に入る全ての人を対象とした一律の隔離措置の撤回を表明。症状がなく、エボラ熱患者と直接接触していない人については今後、外出禁止の対象とはせず、エボラ熱の潜伏期間が過ぎるまでの21日間にわたり毎日2回の検温と症状の有無の確認を実施すると発表した。同期間中は、保健当局の職員らが対象者を移送し、日々の観察を行うという。

 24日に導入された隔離措置については、医療従事者や保健当局からの批判が起きていた。隔離された初の米医療従事者となったケーシー・ヒコックス(Kaci Hickox)さんは、自身に症状がなく検査でも陰性反応が出ているとした上で、水洗式ではないトイレとベッドのみが置かれ、シャワーもない病室に隔離されている状況を「刑務所に入れられている」ようだと非難。新措置は「非人道的」だと訴えた。

 また、米国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious DiseasesNIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は、米CNNテレビに「(エボラ出血熱から)われわれを守る最良の手段は、アフリカでのエボラ流行を止めること。そして流行防止への最良の手段は、アフリカに赴き現地の人々を支援する医療従事者を確保することだ」と述べたうえで、帰国した医療従事者たちからアフリカを再訪する意欲をそがないよう扱うべきだと指摘。体調を崩していたりエボラ出血熱の症状が現れたりしていない人たちは脅威ではないと強調した。(c)AFP