【10月24日 AFP】人工衛星や電力網に損傷を与える可能性のある太陽嵐が発生する前に、磁気を帯びたエネルギーの「ねじれた縄」が出現するとの研究論文が、22日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。

 研究論文によると、嵐の発生前に太陽の表面にはひも状の磁場の束が現れ、増大して上方向に圧縮される。そして後日、放射線や高エネルギー粒子、磁気を帯びたプラズマなどが太陽から爆発的に放出されるという。

 太陽の爆発現象については、その発生頻度は低いものの、現代人が日々の生活で依存している人工衛星や全地球測位システム(GPS)、電力供給網などに影響するため、懸念材料としての存在感はますます大きくなっている。

 今回の研究で、フランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific ResearchCNRS)のタハール・アマリ(Tahar Amari)氏率いる研究チームは、2006年12月に発生し、日本の科学衛星によって偶然観測された太陽嵐を詳細に調べた。

 アマリ氏は、AFPの電子メール取材で「発生4日前に発生源を特定できた」としながら、「磁場は、ねじれた縄の形に蓄積される。縄の両端は黒点に固定されている」と述べ、非常に強力な磁場が存在することが知られている太陽表面の特徴に言及した。

 専門家らによると、太陽嵐は広範囲に及ぶ停電を引き起こし、電力はもちろん、無線、GPS、そして電気ポンプに依存する給水設備に至るまで、あらゆるものを使用不能にする恐れがあるという。

 太陽嵐ではまず、太陽フレアとして知られる太陽表面での爆発現象が起き、X線や紫外線を超高速で放射する。その数時間後には電子や陽子などの高エネルギー粒子が続き、これら粒子が人工衛星に電流を発生させて電子機器に損傷を与える恐れがある。

 次に「コロナ質量放出(CME)」が発生し、数十億トンに及ぶ大量の帯磁プラズマが放出される。これは1日あまりで地球に到達する。

 このような太陽嵐がいつ起きるか、また地球がその通り道に入るかどうかを予測することは、これまで困難とされてきた。

 米航空宇宙局(NASA)の7月の発表によると、2012年7月23日に地球のそばをかすめた太陽嵐は過去150年間で最も強力なもので、直撃していれば「現代文明を18世紀のそれに後退させる」ほどの威力を持っていたとされる。だがこの危機的状況に気付いていた人はほとんどいなかった。

 現時点では、太陽を周回している米国の観測衛星があるため、太陽の爆発現象については発生の数時間前に警告を受けることができる。アマリ氏は、この警告時間も将来的には延長されるはずだとしており、「研究は、近い将来に起きるであろう太陽爆発に関する知識を向上させる助けになると思われる。リアルタイムの磁気データと数理モデルを用いることで、ゆくゆくは『宇宙天気』の予測も可能になるに違いない」と述べた。(c)AFP