【10月23日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)やイタリアの独裁者ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)の肖像がふたにプリントされたコーヒー用クリームを喫茶店やレストランに供給してしまったのは「許されないミスだった」として、スイスの小売り大手ミグロ(Migros)が22日、謝罪した。問題のコーヒー用クリームは現在回収中で、デザインを手掛けた会社とは契約を解消したという。

 スイスでは、コーヒー用クリームの容器のふたを収集する愛好家がおり、メーカーが定期的にデザインを刷新する。ヒトラーやムソリーニの顔がデザインされたコーヒー用クリームはスーパーマーケットの店頭では未発売だったが、全国のレストランやカフェ約100店舗で提供されていた。

 問題のデザインは、コーヒー用クリーム容器を専門に製造する会社、カロ(Karo)が手掛けたビンテージ葉巻のシガーバンド(葉巻に巻く帯)を素材にした55種類の容器のうちの2種類。第2次世界大戦(World War II)前に出回ったシガーバンドの中に、ヒトラーとムソリーニの肖像を使ったものがあったという。

 カロのペーター・ウェルクリ(Waelchli)社長は、突然メディアの注目を浴びたことに驚いたとコメント。問題とされたデザインについて「シガーバンド・ラベルと銘打ったシリーズの一部で、収集家向けに2年前から市場に出回っていたデザインだ」と述べた。一連のデザインは、ビンデージのシガーバンドに関する書籍から選んだという。

 ウェルクリ社長は、ドキュメンタリー番組や映画にヒトラーを登場させるのと、コーヒー用クリームの容器にヒトラーの顔ををプリントすることとの間には、ほとんど違いはないと主張しつつ「だが、生産は止める」と語った。

 ミグロが供給した1箱200個入りのコーヒー用クリーム300箱のうち、1200個ほどが問題のデザインだったという。(c)AFP