【10月23日 AFP】妊娠4~6か月の期間に自動車の排ガスに高濃度でさらされると、生まれてくる子どもの肺に問題が生じるリスクが高まるとした研究論文が、20日の英医学誌「ソラックス(Thorax)」に掲載された。

 スペイン・バルセロナ(Barcelona)にある環境疫学研究センター(CREAL)のエバ・モラレス(Eva Morales)氏が率いた研究チームは、カタルーニャ(Catalonia)州サバデル(Sabadell)と北西部バスク(Basque)州ギプスコア(Gipuzkoa)にある産科医院に通院中の妊婦1295人を対象に、長期にわたる調査を行った。

 研究チームは、妊婦らの居住地域で、排ガスに含まれる汚染物質のベンゼンと二酸化窒素の濃度を妊娠期間中複数回にわたって測定し、妊婦および生後1歳の子どもの汚染物質への曝露の度合いをまとめたモデルを作製。また4歳半に達した時点で子どもらの肺活量を測定して620人分のサンプルを収集した。

 収集したサンプルと曝露のモデルとを照らし合わせた結果、妊娠4~6か月の時に高濃度のベンゼンにさらされた女性たちの子どもには、汚染が少ない地域の子どもに比べて肺機能に問題がある可能性が22%高いことが分かった。二酸化窒素では、同30%高かった。

 アレルギー体質の子どもや低所得者層の子どもでは、この傾向がより強かったが、一方で生後1年間にさらされた大気汚染の「濃度」による肺への影響に違いは確認されなかった。

 研究チームは論文の中で、この結果から「出生前に排ガスによる大気汚染にさらされることで、子どもの肺の発育に悪影響が出る可能性があることが示された」と結論付けた。(c)AFP/Richard INGHAM