【10月23日 AFP】メキシコ南部ゲレロ(Guerrero)州イグアラ(Iguala)市で先月下旬に学生6人が殺害され43人が行方不明となった事件で、同国の司法当局は22日、学生らの襲撃を指示した疑いでホセ・ルイス・アバルカ (Jose Luis Abarca)市長とその妻、公安担当者の計3人の逮捕を命じた。

 メキシコ当局は、行方不明となった学生たちの捜索を続けているものの、行方につながる手掛かりは何もなく、国内外から批判が寄せられている。イグアラでは22日、事件に抗議するデモ隊が市庁舎に放火する事件も起きた。

 ヘスス・ムリーリョ・カラム(Jesus Murillo Karam)司法長官は記者会見で、アバルカ市長は妻が代表を務める地元の児童保護団体主催のイベントが邪魔されないよう、抗議運動を頻繁に展開することで知られていた学生たちの「対処」を警察に命じたと説明した。

 メキシコ当局は、汚職官僚と地元警察が麻薬組織「ゲレロス・ウニドス(Guerreros Unidos)」と事件を共謀したとみている。アバルカ市長の妻、マリア・デ・ロス・アンヘレス・ピネダ(Maria de los Angeles Pineda)容疑者のきょうだいには少なくとも3人の麻薬密売人がおり、夫婦ともゲレロス・ウニドスとのつながりがあるという。

 イグアラでは22日、未解決の学生失踪事件に怒った教師や学生数千人による抗議デモが行われ、一部参加者が市庁舎に放火する事態に発展した。市庁舎に火を放った人数は不明。現地のAFP記者によると、市庁舎内に職員らはいなかったという。

 イグアラで抗議デモ参加者が放火行為におよんだのは、ここ最近で2度目。このほか、ゲレロ州の州都チルパンシンゴ(Chilpancingo)でも21日、教師約500人が州知事の辞任を求めて革命民主党(Democratic Revolutionary PartyPRD)本部になだれこみ、パソコンや書類を燃やすなどしている。(c)AFP