【10月22日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の伝説的編集者で、1970年代に当時のリチャード・ニクソン(Richard Nixon)米大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート(Watergate)事件のスクープ報道を指揮したベン・ブラッドリー(Ben Bradlee)氏が21日、米首都ワシントン(Washington D.C.)の自宅で老衰により死去した。93歳だった。

 同紙はウェブサイト上でブラッドリー氏について、「ワシントン・ポストを世界でも指折りの新聞社に導いた」と称賛。同紙の発行人を務めブラッドリー氏の上司でもあったドナルド・E・グラハム(Donald E. Graham)氏は、「ベン・ブラッドリー氏は当時の米国で最も優秀な新聞編集者で、現代のワシントン・ポスト編集者の中で最も大きな影響を同紙に与えた」と述べた。

 ブラッドリー氏は、ドナルド氏の母親で同紙の発行人だったキャサリン・グラハム(Katharine Graham)氏の下で、当時若手記者だったボブ・ウッドワード(Bob Woodward)氏とカール・バーンスタイン(Carl Bernstein)氏にウォーターゲートビル侵入事件の調査を任せた。この調査報道により、大規模な監視計画が明らかとなり、1974年のニクソン大統領の辞任や、数十人の高官の訴追につながった。

 ブラッドリー氏が活躍した1968年から1991年にかけて、ワシントン・ポストはウォーターゲート事件の報道でピュリツァー賞(Pulitzer Prize)を受賞したほか、ベトナム戦争(Vietnam War)をめぐる政治的動きを暴露した極秘文書「ペンタゴン・ペーパーズ(Pentagon Papers)」の公開に向けた法廷闘争でも一定の役割を果たした。(c)AFP