【10月22日 AFP】米海洋大気局(US National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)は21日、米東部ノースカロライナ(North Carolina)州沖の海底に沈む、第2次世界大戦(World War II)時代のナチス・ドイツ(Nazi)の潜水艦「Uボート(U-boat)」と米国商船の2隻を発見したと発表した。

 これらの艦船は1942年に「大西洋の戦い(Battle of the Atlantic)」で激突し、「大西洋の墓場(Graveyard of the Atlantic)」として知られる海域で沈没して以降、70年以上にわたり行方不明になっていた。

 NOAAの国立海洋保護区事務所(Office of National Marine Sanctuaries)が主導する研究チームは、海岸から約48キロ離れた沖合で2隻の沈没船を発見した。ナチスのUボート「U-576」と貨物船「ブルーフィールズ(Bluefields)」の発見は「第2次大戦の歴史的な戦闘と海中の戦場の景色を垣間見る希少な機会」を提供するとNOAAは述べている。

 U-576とブルーフィールズ号は、約220メートル離れた場所でそれぞれ発見された。

 2隻が沈没することとなった戦闘が起きたのは1942年7月15日。護衛された商船の船団が米バージニア(Virginia)州ノーフォーク(Norfolk)から米フロリダ(Florida)州へと向かう途中でU-576の攻撃を受けた。

 NOAAによると「U-576はニカラグア船籍の貨物船『ブルーフィールズ号』を撃沈し、他の2隻にも重大な損傷を与えた」という。「これに応戦して、同船団を空から護衛していた米海軍水上機『キングフィッシャー(Kingfisher)』はU-576に向けて爆弾を投下し、同時に米商船『ユニコイ(Unicoi)』が艦載砲で同潜水艦を攻撃した」

 両船は数分以内に破壊されて海底に沈没したが、ドイツのU-576にのみ45人の戦死者が出た。

 沈没現場はこれらドイツ人乗組員の「戦没者の墓」とみなされ、国際法の下で保護されている。今回の沈没船の残骸は8月、NOAAの学術調査船に乗船した考古学者らによって発見された。(c)AFP