【10月20日 AFP】フランスのパリ国立オペラ(Paris Opera)は19日、劇場の最前列でベールで頭髪を覆って歌劇を観賞していた女性を退席させたことを明らかにした。仏政府は2011年、公共の場で顔全体を覆い隠すベールなどの着用を禁じた、いわゆる「ブルカ禁止法」を施行している。

 パリ国立オペラのジャンフィリップ・ティエレ(Jean-Philippe Thiellay)氏はAFPに対し、歌劇場オペラ・バスチーユ(Opera Bastille)での歌劇「椿姫(La Traviata)」の公演でベール着用していた女性を退席させたことを認め、先の報道内容を事実だと認めた。

 ティエレ氏の説明によると、問題の女性は10月3日の公演の際に劇場最前列中央の席に座っていた。頭髪をスカーフで、顔の下半分をベールで覆っており、その様子はモニター画面でも確認できたという。ティエレ氏は、この女性について第2幕に報告を受け、「何人かの出演者から、何かしらの措置が取られない限りは歌いたくないと言われた」という。

 仏メトロニュース(MetroNews)によれば、この女性と、女性の連れは湾岸諸国からの観光客で、幕あいに劇場スタッフから退席を求められたという。

 一方、ティエレ氏は「女性に対し、フランスではベール着用が禁止されていることを説明した上で、ベールを取って顔を見せるか、退席するかを求めた。男性が女性に立つようにうながし、2人は出て行った」と説明。「退席するよう求めるのはいかなるときでもいいことではない。だが法律についての誤解があった。女性は法を尊重するか、退席するかを選ばなければならなかった」と述べた。

 フランスでは2011年に、公共の場で顔全体を覆い隠すベールの着用を禁じ、違反者には最大150ユーロ(約2万円)の罰金を科す法律が施行された。仏文化省は、劇場や博物館をはじめとする公共施設に対し、ベール着用に関する規則について同省の指示に従うよう通達する法案を起草中だと発表した。(c)AFP