【10月18日 AFP】欧米諸国は17日もエボラ出血熱の世界的拡散の恐怖を退けようと賢明の努力を続け、国連(UN)は改めて各国にエボラ対策の資金提供を呼びかけた。

 先の見通しが暗い中セネガルではよいニュースがあった。エボラウイルスへの新規感染がない期間が42日間に達し、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)はセネガルのエボラ出血熱は終息したと発表した。

 セネガルでは、ギニアとの国境が閉鎖された8月21日の直前にギニアから入って来た学生が、入国1週間後にエボラ出血熱と診断された。すばやい治療のおかげで学生は9月5日までに回復し、2週間後にギニアに帰国した。

 セネガルは患者との密接な接触者74人の確認と監視、感染のおそれのある全ての人に対する迅速な検査、国境検問所での監視の強化、エボラへの意識を高める全国民的な運動などの対応を取ったとWHOは強調した。

 とはいえ、セネガルのエボラ感染者は1人だけで死亡もしておらず、世界中の感染者9216人、死亡者4555人という大海の1滴であり、国際的な警戒姿勢は高まっている。

 世界銀行(World Bank)のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁は17日、国際連帯の不足のため、「われわれがこの闘いで負けつつある」と警告を発した。

 エボラ熱感染の速度は12月初めまでに週1万人に達する可能性があると専門家は警告している。

 エボラ対策基金総額9億8800万ドル(約1060億円)の国連の要請でこれまでに獲得できたのは3億7700万ドル(約403億円)。必要額の38%だ。

 東アフリカ共同体(East African Community)の構成国ブルンジ、ケニア、ルワンダ、ウガンダ、タンザニアは、被害の最も多いギニア、リベリア、シエラレオネの3国に医療従事者600人以上を派遣すると発表した。

 コフィ・アナン(Kofi Annan)前国連事務総長は英BBCに、「今回の危機の経緯を振り返ると、国際社会はこの病気が欧米に達してからようやく事態の大きさに気づいた」と述べ、エボラ出血熱の流行がアフリカで始まったため、先進国は流行の初期に迅速に対応しなかったと批判した。(c)AFP/Jonathan FOWLER