【10月16日 AFP】ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前米国務長官は15日、ケンタッキー(Kentucky)州上院選の民主党候補、アリソン・ランダーガン・グライムス(Alison Lundergan Grimes)州務長官の応援に同州ルイビル(Louisville)を訪れた。応援演説でありながら、その内容は隅から隅まで、あたかもクリントン氏が2016年次期大統領選の最有力候補となったかのようだった。

 今秋の中間選挙で議席が改選となるケンタッキー州の選挙戦では、上院院内総務を務め、5回の当選を果たしている共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)氏にグライムス氏が挑む構図となっている。全米の注目を集める同州選挙の世論調査は僅差ながらマコネル氏が優勢で、共和党としては上院での議席奪還への期待がかかる。

 ヒラリー氏はグライムス氏の応援演説の中では、大統領選出馬の可能性には言及していない。だが熱のこもった演説は、2008年の大統領選で民主党初の女性大統領候補の座をヒラリー氏がほとんど手中にしかけていたことを思い起こさせるものだった。

 グライムス氏の応援に集まった支援者たちを前に、ヒラリー氏は「2008年には本当に多くの人たちが心を開き、私を自宅に招き入れてくれた」と語り掛け、「(女性の昇進を阻む)ガラスの天井に、もう一撃加えてやりましょう。そして、若く素晴らしい才能を持ったこの女性を米国の上院に送り込みましょう」と訴えた。

 ヒラリー氏はケンタッキーを訪問する数週間前から、コロラド(Colorado)州やペンシルベニア(Pennsylvania)州にも出向き応援演説を行っている。だがルイビルでの15日の演説は、中流層の機会拡大、教育の改善、最低賃金引き上げ、女性の権利拡大などのテーマに触れた最も政治的な内容と言えるもので、ヒラリー氏が大統領選出馬を決意した場合の基礎固めとなりそうだ。

 中でも女性の権利拡大についてヒラリー氏は、この点では消極的とされるマコネル議員を念頭に「現代の、この時期に、いまだに同一賃金同一労働は不要だなどと、ケンタッキーの女性たちに説く人物がいるとは信じがたい」と述べ、「(賃金の問題は)女だとか男だとかは関係ない。これは家庭と公正さと経済の問題なんです」と主張した。(c)AFP