【10月10日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は9日、米主導の空爆が続く中、トルコと国境を接するシリア北部の要衝アインアルアラブ(Ain al-Arab、クルド名:コバニ、Kobane)の3分の1を掌握した。一方トルコは、単独での地上作戦に踏み切る可能性を否定した。

 この戦闘で数十人が犠牲になる中、アインアルアラブでイスラム国と戦っているクルド人部隊を支援するため、地上作戦に踏み切るべきだという声が高まっている。

 しかし、北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長と会談したメブリュト・チャブシュオール(Mevlut Cavusoglu)トルコ外相は、「トルコが独自に地上作戦を主導していくという考えは非現実的だ」と述べ、トルコ単独の地上作戦については難色を示した。

 一方シリア政権を支持しているイランのアミル・アブドラヒアン(Amir Abdollahian)外務次官は、アインアルアラブを守るためトルコと協議中であることを明かし、「トルコが重要な役割を果たしてくれることを期待している」と語った。

 介入に踏み切っていないトルコは圧力を受けており、トルコ国内のクルド人地域では抗議行動が衝突に発展、死者が出る事態となっている。

 イスラム国が3週間前から包囲しクルド人部隊によって陥落の危機を持ちこたえているアインアルアラブは、対イスラム国との戦いで極めて重要な戦場になっている。各国メディアは国境をまたいでアインアルアラブからすぐ近くのトルコ領内に集結しており、もしイスラム国が同地を完全掌握すれば、イスラム国にとっては世界の耳目を集める象徴的な勝利となる。(c)AFP/Fulya Ozerkan with Sara Hussein in Beirut