【10月1日 AFP】中国政府は、膨れあがる香港(Hong Kong)の民主派によるデモと1989年の天安門(Tiananmen Square)事件の比較を恐れ、デモに関する報道を押さえつけつつ、流通させる情報を操作する二重作戦に出ていると、専門家らは分析している。

 民主派デモを支持する声が多く聞かれる世界各国では、旧英国植民地の街路を埋め尽くす大規模な、しかし平和的な抗議行動の映像が駆け巡っている。だが、中国本土での語られようはこれとは大きく異なり、抗議の参加者たちは「暴力的」で「過激」で、外国勢力に操作されているといった描かれ方をしている。

 先月29日の中国国営英字紙・環球時報(Global Times)中国語版の一面に掲載された写真は、デモの参加者らが至近距離から催涙弾を発射されている画像ではなく、押し寄せる群衆の波を制止しようと踏ん張る警官の隊列だった。

 中国共産党は検閲によって香港デモの参加者からの投稿や、中国政府へ向けられた国内外のあらゆる批判をソーシャルメディア上から削除するなど、流れるニュースは中国共産党の公式見解に厳密に従ったものになっており、専門家らはソーシャルメディア上での過去最大の弾圧と指摘している。

 北京(Beijing)を拠点に中国のメディアやインターネット情勢を追っている英調査会社「ダンウェイ(Danwei)」の創始者ジェレミー・ゴールドコーン(Jeremy Goldkorn)氏は「長期的に目にできる情報としては、公式見解以外にはほとんどない」と言う。「これは、何が起きているのか、人々が知らないということではなく、メッセージが非常に厳格に統制されているということだ」

 写真共有サービスのインスタグラム(Instagram)への接続は、香港のデモが激化した先月27日以降、中国本土では遮断されている。これにより同社も、フェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)、ユーチューブ(YouTube)といった本土のサイバースペース上で元々禁止されていた外国産ソーシャルメディアの一群に名を連ねることになった。