【10月1日 AFP】ドイツ西部のエッセン(Essen)市は1日、アルコールおよび薬物依存症者に路上清掃業務をあっせんし、報酬としてビールやたばこ、食料、少額の現金を支払うプログラムを開始した。だが同プロジェクトに対しては批判の声も聞かれる。

「ピックアップ」と呼ばれるこのプロジェクトは、同市中心部の鉄道駅や西部の工業地帯などの荒廃した地区で行われる。プロジェクトはソーシャルワーカーらが注意深く監視するという。

 独日刊紙ウェルト(Die Welt)によると、市はまず6人に路上の清掃とごみ収集の作業を委託。報酬として時給1.25ユーロ(約170円)と、シフト終了後の温かい食事と3本のビール、喫煙者にはたばこが与えられるという。

 だが同プログラムは既に厳しい批判を浴びている。路上生活者を支援するあるグループは、この「低賃金労働」プロジェクトは非人間的だとし、アルコール依存症者に公的資金でビールを与えなければならない理由を問うた。

 これらの批判に対して、同プロジェクトを運営する「Suchthilfe Direkt(依存症直接支援)」は、オランダのモデルに基づくこのプロジェクトの目標は、違法薬物やアルコールなど複数の薬物に依存している最も深刻な人々を社会に再統合することだと反論している。

 完全にアルコールや薬物を絶つことができなかったりその意志がなかったりする人々に、より強いアルコールの摂取を止めさせ、社会や医療サービスと今までよりも接点を持たせることで依存症者の「害を低減」することが一番の目標だという。(c)AFP