【10月1日 AFP】シリアやイラクで勢力を拡大しているイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」によるプロパガンダが、東南アジアの過激派にとっての強力なスローガンになる恐れが高まっている。

 世界最大のイスラム人口を有するインドネシアと、イスラム教徒が多いマレーシアでは、何百人もの国民が戦闘に加わるためシリアやイラクに渡った可能性があり、当局は警戒を強めている。

 テロ専門家らは、イスラム国の戦闘に加わった人々が自国に戻る際、イスラム国の暴力的なイデオロギー(思想)を持ち帰ったり、自国でテロを扇動したりする恐れがあるとみている。

 フィリピン南部のイスラム原理主義過激派グループ「アブサヤフ(Abu Sayyaf)」は先週、ドイツ政府に対し、イスラム国に対する軍事作戦への支援を停止しなければ、ドイツ人の人質を斬首すると脅迫、身代金を要求した。ドイツ政府側はこれを拒否。フィリピン政府は、外国人ジャーナリストたちを斬首したイスラム国の悪名を利用し資金を集めようという愚にもつかぬ策略だと一蹴した。

 だがイスラム国の動きは、旧ソ連によるアフガニスタン侵攻時を連想させる。旧ソ連が1979年、アフガニスタンへの軍事介入を開始すると、東南アジアを含む世界各地からイスラム教徒が戦闘に加わるために集まった。東南アジアからの戦闘員が帰還後、一帯で過激派組織を育て、2002年に外国人観光客ら202人が犠牲となったバリ島爆発テロなどを首謀したジェマ・イスラミア(Jemaah IslamiyahJI)などの組織の誕生につながった経緯がある。

 イスラム国が先週、世界のイスラム教徒に対し、米国主導の対イスラム国有志連合に参加する国々の市民と、その他の「不信仰者」の殺害を呼び掛けたことから、こうした組織に対する懸念はますます高まっている。