【9月30日 AFP】ブラジルで10月5日に予定されている総選挙の候補者名簿には「バラク・オバマ(Barack Obama)」が5人、「ビン・ラディン(Bin Laden)」が3人、「イエス・キリスト」と「ワンダーウーマン」と「007」が1人ずつ並び、あたかもコスプレショップの商品一覧のような様相を呈している。

 しかし一見ふざけているような候補者名は、相も変わらぬ政治に対する強い不満を表しているという分析もある。国民の80%が議会を信頼していないと答えるこの国では実際、うんざりしきった有権者が、腐敗した政治家よりも読み書きを知らないお笑い芸人を好むこともある。

 そうした事態は、4年前に行われた前回の総選挙で実際に起きた。サンパウロ(Sao Paulo)出身のコメディアン、チリリカ(Tiririca、気難し屋の意)氏が「これ以上悪くなりようがないから、自分に投票を」というスローガンを掲げて下院議員選に立候補し、最多得票の130万票を獲得して見事当選した。

 そのチリリカ氏は、新たな仕事を始めるに当たり、自分の名前を書くことをまず最初に学ぶ必要に迫られた。任期中の4年間、チリリカ氏は議場で演説したり、実際に成立した法案を提出したりすることはなかったが、議会への出席率が最も高い下院議員の1人となり、再選を目指して臨む5日の選挙では本命候補とみなされている。

 ブラジルの選挙法では、候補者が好きな氏名を名乗ることを認めている。候補者名簿には「ワンダーウーマン」の他にも、「ヨーグルトウーマン」や「ハンバーガーフェイス」、「バイク男」に「おかしなディック」、「ロバ」や「チュパカブラ」(血を吸うといわれる未確認動物)に「チクレット」、あげくは「ランボー(Rambo)」に「ブラジルの007」まで創意工夫にあふれる名前が並んでいる。(c)AFP/Laura BONILLA