【9月30日 AFP】民主派による抗議行動が続く香港(Hong Kong)では29日夜、機動隊が催涙ガスを使用した前日から一転して祝祭ムードが広がり、大規模な街頭パーティーの様相を呈した。

 アジアの金融拠点をなす香港の主要地区を機能不全に陥れた28日の騒乱の後も、デモ参加者らは、政府からの帰宅の呼び掛けを無視して街頭にとどまり、中国政府が自由選挙を容認するまでは抗議行動を継続する構えを示している。

 28日にはデモ隊の制圧に苦しんだ機動隊が催涙ガスの使用に踏み切り、香港が中国に返還されて以降で最悪規模の騒乱に発展した。しかし29日になって機動隊が撤退すると、香港内の少なくとも4本の幹線道路を封鎖していた民主派の怒りは落ち着きを見せ、一転して祝祭ムードが高まった。

 日没後には、主要な高速道路上に残った数千人のデモ参加者らが一斉に携帯電話のライトをともし、ビジネス街の金鐘(アドミラルティ、Admiralty)地区に光の海が広がった。

 当局者の姿はほとんど見られなかったが、デモ参加者らの中には28日の衝突が繰り返されることを恐れ、催涙ガスから身を守るゴーグルやマスクを引き続き着用している人もいた。

■「傘の革命」

 今回の大規模な抗議行動では、多くの参加者らが催涙ガス対策と日よけ用として傘をさしていることから、この民主派デモを「傘の革命(Umbrella Revolution)」と呼ぶ動きも出ている。

 事の発端は、先月中国政府が2017年に次期香港行政長官選挙を実施するとしながらも、候補者の徹底審査を行うと発表したことにあった。これに民主派が激怒、「偽りの民主主義」という批判が巻き起こった。

 かつてはその安定性で知られていた香港の住民の間ではまた、まん延する不公平に対する反発が近年で最も強まっている。(c)AFP/Benjamin HAAS