【9月29日AFP】韓国・仁川(Inchon)で開催中の第17回アジア競技大会(17th Asian GamesAsiad)では、北朝鮮が派遣を見送った「美女軍団」に対抗するべく、「メダル授与式ガールズ」が投入されている。

 政治的な対立を背景に、北朝鮮がアジア大会に応援団を送らない決定を下したとき、多くの韓国人は落胆した。だが大会の組織委員会は、400回以上も行われる表彰式でメダルを運ぶ美女204人が、北朝鮮の「美女軍団」に代わり脚光を浴びることを期待している。

 この「メダル授与式ガールズ」は皆、仁川にある仁荷工業大学(Inha Technical College)の1年生で、客室乗務員になるべく勉学に励んでいる。競争率は高く、100人に1人しか合格しない狭き門だ。

 表彰式には、伝統的な韓服をまとい、髪は固く後ろでまとめ、昔の韓国王室の女性のような髪飾りをつけて登場。靴のデザインは保守的ながらも、ヒールの高さは7.5センチだ。平均身長は168センチで、自分たちの容姿についても誇らしげだ。

 だが彼女らは、アジア大会のために8週間のトレーニングに耐えてきた。美しい姿勢を保つために、本を頭に乗せたり膝に挟んだりして、ペットボトルを乗せたお盆を持ちながら歩く練習を重ねた。

「トレーニングは厳しかったけど、あきらめなかった。北朝鮮の応援団にひけをとらずに、ここ仁川で観客の注目を浴びたかったから」と、メダル授与式ガールズの一人、パク・ソンユンさんはAFPに語った。「たくさんの美人の中から選ばれた北朝鮮の応援団と比べたくないけど、私たちのほうが美人だと思う」

 北朝鮮の「美女軍団」は、韓国で開かれた国際的なスポーツ競技会にこれまでに3度参加し、いずれもチケットの売上げに貢献した。

 パクさんは重量挙げ男子62キロ級で、世界新記録を出して優勝した北朝鮮のキム・ウングク(Kim Un-Guk)選手に金メダルを渡すとき、緊張していたようだった。北朝鮮人と会うのは、その時が初めてだったという。だが彼女は、北朝鮮の高官やアスリートたちがスタンドで国旗をはためかせながら見守るなか、自分の責務を果たした。

「観客は喜んでいるに違いない」と、仁荷工業大学で機内サービス・マネジメントを教え、パクさんらの訓練に協力したイ・ヨンヘ(Lee Young-Hee)教授は言う。「私の学生はどこに出しても恥ずかしくない。8週間のトレーニングで、完璧なメダル授与式ガールズになったのだから」

 同教授は、彼女たちが韓国女性の美しさを体現してくれると確信している。「北朝鮮の応援団に比べて、私の学生らはバランスが取れており、礼儀正しく、あらゆる面で優れている」(c)AFP/Lim Chang-Won