【9月29日 AFP】香港(Hong Kong)で続く民主派の抗議行動は「消える運命にある」――中国政府がソーシャルメディアを介した情報発信を削除し、写真共有サービスのインスタグラム(Instagram)を遮断する措置に出る中、中国国営英字紙・環球時報(Global Times)は29日、このような社説を掲載した。

 香港では、初めて普通選挙制度が導入される予定の2017年の次期香港行政長官選挙をめぐり、中国政府が民主派を事実上排除する方針を示したことに抗議する民主派が22日から抗議行動を続けている。28日には約1万人のデモが機動隊と衝突。97年の英国からの香港返還以来、最悪の騒乱状態となっている。

 こうした中、中国を一党支配する共産党に近い環球時報は、社説で「急進的な活動家たちは消える運命にある」「香港の政治改革計画に関する全国人民代表大会(全人代)常務委員会(Standing Committee of the National People's CongressNPCSC)の決定を変えるのが不可能なことは、反対派もよく分かっているはずだ」と民主派を厳しく批判した。

 また、今回の香港のデモを、1989年の天安門(Tiananmen)事件の際の武力弾圧と「関連付けて」報じている米メディアにも批判の矛先を向け、そうした比較には「根拠がない」「中国は25年前と同じ国ではない。さまざまな騒乱により適切に対処する手段を持っている」などと反論した。

■ネット検閲強化、「即削除」

 中国当局によるプロパガンダを監視している米国拠点のニュースサイト「チャイナ・デジタル・タイムズ(China Digital Times)」によると、中国当局は国内全てのウェブサイトに対し、香港での抗議行動に関するあらゆる情報を「直ちに」削除するよう命じたという。

 29日の共産党の機関紙、人民日報(People's Daily)の紙面には香港のデモに関する報道は一切掲載されず、海外版でもデモ隊と機動隊の衝突に関する党指導部の声明要旨について触れた記事が1本載っただけだった。

 一方、国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は、10月1日に香港の金融街「中環(セントラル)」を占拠する計画を呼び掛けてきた市民グループ「オキュパイ・セントラル(Occupy Central、中環を占拠せよ)」について、「香港経済の中心地をまひさせようとする政治過激派」と批判。「住民の支持が得られないことに気付き、香港の民主化を促進しようとする学生たちの理想と熱意を乗っ取って」抗議行動の日程を早め、「違法な占拠を28日に開始した」と強く非難している。(c)AFP