【9月29日 AFP】岐阜県と長野県の県境にある御嶽山(Mount Ontake)の突然の噴火について、フランスの火山学者、ジャックマリー・バルダンツェフ(Jacques-Marie Bardintzeff)氏は28日、非常にまれな現象で、事前に対応策を講じることは不可能だったとAFPに語った。

 パリ第11大学(University of Paris-Sud Orsay)とセルジー・ポントワーズ大学(University of Cergy-Pontoise)に所属するバルダンツェフ氏は、今回のような突然の噴火は珍しいと指摘し、次のように述べた。

「通常、火山活動が活発になるのは短くても30~40年(の休止期間)後で、われわれも噴火が起きる24~72時間前には警告が出せる。マグマの動きや微小地震活動が感知され、気温に変化が現れる」。これだけの猶予があれば、地域住民への避難勧告や観光客の入山規制を行うには十分だという。

 ただ、噴火の中には数分前にしか予知できないものがあることが知られていないわけではない。

 こうした予測不可能な噴火については、さまざまな説明が成り立つという。「たとえば、既にできていた裂け目からマグマが1度に噴き出すこともある。これは非常にまれだ」

 他に、水蒸気爆発や、マグマ水蒸気爆発という噴火の種類もある。「火山の内部には地下水がたまっていることがある。マグマが上昇すると、その熱で地下水が急速に気化し、圧力鍋のように火山内部で高圧が発生する。この圧力が地表の抵抗力よりも強ければ、岩石が全て断片状に粉砕され、火山弾となって飛散する」

 こうしたタイプの噴火は、発生前に明確な兆候がなく、噴火に至るまでの火山活動状況の変化も急激なため、特に危険だ。こうしたケースでは、現在の地震感知器では「残念ながらどうすることもできない」とバルダンツェフ氏は述べ、より精巧な機器の必要性を指摘した。

 今回の突然の噴火の原因については、現時点ではまだ確認は取れていない。(c)AFP/Véronique MARTINACHE