【9月25日 AFP】メキシコの与党・制度的革命党(PRI)に所属する連邦議会議員が、所属不詳の集団に白昼堂々拉致され、殺害された上に遺体に火をつけられていたことが、当局の24日の発表により分かった。同党に所属するエンリケ・ぺニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領はこの前日、国内の殺人件数が減少したと発表したばかりで、党内には衝撃が走っている。

 当局によると、ガブリエル・ゴメスミチェル(Gabriel Gomez Michel)議員(49)は22日、同国西部ハリスコ(Jalisco)州の空港にスポーツ用多目的車(SUV)で向かっていたところ、複数の車両に行く手を阻まれた。

 議員の遺体は翌23日早朝、隣接するサカテカス(Zacatecas)州で、黒焦げとなった自身のSUVの中からアシスタントの焼け焦げた遺体とともに見つかった。

 サカテカス州の主任検察官によると、遺体や車両から銃弾は発見されておらず、遺体はひどく焼け焦げているため、死因の特定は困難とみられる。容疑者はまだ特定されていないが、殺害手法は組織犯罪でよくみられるものだという。

 ゴメスミチェル議員の地元ハリスコ州は、麻薬カルテル「ハリスコ新世代(Jalisco New Generation)」の拠点。同検察官によると、遺体が見つかったサカテカス州では、メキシコの麻薬組織「湾岸カルテル(Gulf Cartel)」が活動している。

 メキシコの麻薬戦争において、地元政治家らはしばしば攻撃や脅迫の対象となっており、2006年以降少なくとも30人の自治体首長が殺害された。ただ、連邦議会議員が標的となることは比較的まれだ。

 ぺニャニエト大統領は23日、メキシコ国内における2014年上半期の殺人件数が、自身が就任した2012年の同期比で29%減少したと発表していた。(c)AFP/Ulises Zamarroni