【9月26日 AFP】石炭を用いた発電を2050年までに段階的に廃止することで地球の気温上昇を0.5度抑制することができるとの分析が、国連(UN)の気候変動サミット開幕前日の22日に発表された。

 現在の傾向に基づく予測では2100年までに気温は3.7度上昇する見通し。だが石炭を用いた発電をよりクリーンな再生可能エネルギーに置き換えることで世界の平均気温は3.2度の上昇に抑えることができる。国連の定める気温上昇の目標値である2度に大きく近づく結果だ。

「言い換えると、発電部門における石炭による排出のみを廃止することで…3.7度から2度未満に削減するという現在の方針の取り組みの25%が達成されることになる」と、クライメート・アクション・トラッカー(Climate Action TrackerCAT)と題された報告書は述べた。

 世界の二酸化炭素(CO2)排出の約40%は発電によるもので、そのうち石炭発電が約70%を占めている。そして現状の政策を変更しなければ、石炭を使用した発電によるCO2排出量は2020年までに20%近く増え、2030年には35%近く増える見通しだという。

■「ガスは石炭の代替にはならない」

 また、22日に米ニューヨーク(New York)のカーボン・トラッカー・イニチアチブ(Carbon Tracker Initiative)が発表した別の報告書は、主に中国での石炭需要の減少が見込まれることにより、石炭関連への投資家には「重大な財政リスク」があると警告した。分析の結果、中国の石炭需要が「2016年にピークを迎え、そこから徐々に減少することで人々を驚かせるかもしれない」ことが示されたという。

 一方CATは、石炭をガスに代替することでは電力部門に求められる排出量削減を長期的に実現することは不可能で、「温暖化を0.1度ほど削減することしかできない」と指摘した。(c)AFP/Mariette LE ROUX