【9月24日 AFP】結核菌の「型」が、医療現場で広く使われている抗生物質に反応するものなのか、それとも薬剤耐性を持つものなのかを、簡単な呼気検査で見分けることを可能にする新たな技術についての研究論文が、23日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 米ニューメキシコ大学(University of New Mexico)のグレアム・ティミンズ(Graham Timmins)氏率いる研究チームは、迅速な呼気検査に関する先行研究の成果に基づき、結核を引き起こすヒト型結核菌から放出される窒素ガスの痕跡を見つけるための新しい技術を開発した。同技術はまだ試作の段階にあるという。

 抗結核薬「イソニアジド」に反応するタイプの結核菌は「KatG」と呼ばれる酵素を持っており、この酵素は反応する際に窒素を放出する。今回の呼気検査では、被験者に少量のイソニアジドを服用させ、5分から10分ほど待ってから呼気サンプルを採取し、質量分析計で化学分析を行う。

 窒素の存在を示す陽性結果は、感染している結核菌が、イソニアジドで安全に対処できるタイプであることを示す。イソニアジドは、医療現場で広く使われている2種類の結核治療薬のうちの一つ。

 この最新技術は、これまでのところ少数グループのウサギで試験が行われた段階にあり、人間での安全性と正確性を確認するためには臨床試験を実施する必要がある。この場合、携帯用の診断キットとしてパッケージ化できるかもしれないと研究チームは期待を寄せている。

 この技術はまだ試作の段階にあるため、結核患者の状態について医師らに幅広い見識を与えるためには、今後さらに改良を重ねたり、他の診断法と組み合わせて用いたりする必要があるという。

 研究チームによると、検査で陰性結果が出た場合は、被験者が結核菌を保有していないか、もしくはイソニアジドに耐性を持つタイプの結核菌を保有していることを示しているという。

 致命的となる場合が多い多剤耐性結核菌は、高価な代替薬剤を用いて治療する必要がある。この薬剤は効き始めるまでに時間がかかる上、強い副作用を伴う恐れがある。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の7月の報告によると、2013年の結核による死者数は世界で130万人に上っており、結核は単体の病原菌が引き起こす疾患としては、後天性免疫不全症候群(AIDS、エイズ)に次いで最も致死率が高いという。

 結核菌検査として従来より行われている痰(たん)の分析は、最大6週間の時間を要する場合があるため、より迅速な、その場で結果が得られる診断法の模索が進められている。(c)AFP