【9月23日 AFP】アフリカの狩猟採集民であるサン人たちの話題は、昼と夜とでは大幅に異なり、とりわけ夜間にたき火のそばで行われる会話は、人類の文化の形成に役立ったことを示唆しているとする研究論文が22日の米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に掲載された。

 米国の人類学者、ポリー・ウィスナー(Polly Wiessner)氏は、ボツワナやナミビアのサン人の研究を過去40年にわたって行ってきた。同氏は、サン人の言葉を覚え、彼らのコミュニティーで一時期を過ごした経験を持つ。

 研究論文は、1974年にウィスナー氏がボツワナ北西部にあるコミュニティー2か所で記録したデータが基になっており、これには夜間の会話174件が含まれていた。同時に2011~13年に3回にわたって訪問した際の会話68件のデジタル記録とその翻訳の検証作業も行われた。

 論文によると、サンの人々の日中の会話のうち、日常生活での不満や噂話が全体の34%、金銭および売買、狩猟についての話題が31%、冗談が16%を占めた。いわゆる物語(ストーリー)は、全体の6%にすぎなかった。

 しかし、夜間にはその比率は逆転し、会話の81%が物語となった。経済的な話題は全体の4%に、不満や批判は7%にそれぞれ減少した。

 物語のトピックには、狩猟や食用の肉をめぐる争いの他、殺人や車両の故障、さらには動物に追いかけられた時の話などが含まれていた。

 また、結婚や婚前の慣習、誕生、浮気など、家庭内の問題が占める割合も非常に高かった。

 論文は「行事について語られる際、それを取り巻く環境についてはほとんど触れられることはないが、そこで何が食べられたかについては必ず取り上げられる」としている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN