【9月23日 AFP】1998年以来最長期間に及ぶストライキが続いている仏航空大手エールフランス(Air France)のパイロットらは22日、経営側が「最後の譲歩」とした提案に応じることを拒否した。このストでエールフランスが被っている損失は、1日当たり最大で2000万ユーロ(約28億円)にも上っているとされる。

 パイロットらは、主に地中海の観光地へ運航する系列格安航空トランサビア・フランス(Transavia France)の事業拡大計画に反発し、今回のストライキに踏み切った。パイロットらでつくる組合側は、最高年収25万ユーロ(約3500万円)とされる高賃金のエールフランスのパイロットを給与が大幅に低いトランサビアのパイロットで置き換えていこうとしているのではないかと懸念している。

 エールフランス経営側は、競争の激しい航空業界で不可欠と捉えているトランサビアの事業拡大の凍結を提案。しかしパイロットらの最大組合「全国航空パイロット組合(SNPL)」は声明で、この提案を「これまでの提案以上のことを保証するものではなく、何ら問題解決にならない煙幕にすぎない」とはねつけた。

 しかし、エールフランスの親会社で、独ルフトハンザ航空(Lufthansa)に次ぐ欧州第2の航空会社グループであるエールフランスKLM(Air France KLM)のアレクサンドル・ドジュニアック(Alexandre de Juniac)最高経営責任者(CEO)は先に、運航便の平均6割の欠航を招いている今回のスト終結を目指し、これが「最後の提案」だという見方を示していた。

 具体的にドジュニアック氏は、パイロットらと「対話をより深める」ため、「欧州内にトランサビアの子会社を設立する計画を今年いっぱい凍結する」と提案。しかしその一方で、計画そのものは破棄せず維持していくと言明した。

 政府が株式の16%近くを保有している同社は、今回のストライキによる損失が「1日当たり最大2000万ユーロ」に及んでいるとしており、スト終結後に利益見通しを修正する意向を示している。

 対する組合側は、経営側が要求に応じない限り、ストライキを26日まで継続する構えを見せている。(c)AFP/Pascale JUILLIARD, Sylvie HUSSON