【9月23日 AFP】ウクライナ東部で、政府軍と親ロシア派武装勢力が合意した停戦が確立しつつあることを受けて、政府軍は22日、前線付近から重火器を撤収する準備を進めていることを明らかにした。

 一方親露派指導者らも、冷戦(Cold War)後最も深刻な東西危機を招いた流血の事態が5か月に及ぶ中、今回の和平の動きに懸けてみる用意があるという姿勢を示している。

 親露派が掌握しているドネツク(Donetsk)とルガンスク(Lugansk)両州における衝突は比較的落ち着いているもよう。しかしウクライナ側は、「武装集団による夜間の攻撃」で兵士2人が死亡したと主張している。

 これで双方が停戦合意を締結した今月5日以降に死亡したウクライナ軍兵士および民間人は計39人になった。この停戦合意については、北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍の最高司令官が先週末、「名ばかり」と批判していた。

 しかし20日にベラルーシの首都ミンスク(Minsk)で締結された、幅30キロの緩衝地帯を設置するため双方に戦闘員の撤退を義務付けた新たな合意により、和平実現への期待は高まりつつある。ウクライナ国家安全保障国防会議の報道官は、「前線から15キロの範囲で重火器を撤収する準備をしている」と言明した。

 一方親露派が一方的に樹立を宣言した「ドネツク人民共和国(Donetsk People's Republic)」の副首相を自称するアンドレイ・プルギン(Andrei Purgin)氏も、たとえ「非常に困難」だったとしても停戦合意で定められた自らの責任については果たす用意があると話している。

 プルギン氏はAFPに対し、「文書に署名しただけで終結した紛争があったら教えてもらいたい。そんなことはあり得ない」と断った上で、前進があったことは認め、「チャンスはある。努力する必要があるが、そうすればさらに(和平の)可能性は大きくなるだろう」と語った。(c)AFP/Oleksandr SAVOCHENKO