【9月22日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王(77)は21日、宗教によって暴力が正当化されてはならないと訪問先のアルバニアで述べた。イラクとシリアでの殺りく行為を繰り返しているイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」を念頭に置いた発言とみられる。

 首都ティラナ(Tirana)で大勢の人々に迎えられた法王は、イスラム教徒が7割を占めるアルバニアについて、異なる宗教が共存できることを示す「良き例」と称えた。

 フランシスコ法王はイスラム教やユダヤ教、キリスト教プロテスタントらを含むアルバニア国内各宗教の代表らを前にカトリック大学(Catholic University)で行った演説の中で、目的を達成するために宗教を悪用しているとして、批判の矛先を「過激派」に向けた。

 世界12億のカトリック人口の精神的指導者である法王は、「何人も神の名を借りて暴力に訴えてはならない」と述べ、さらに「神の名のもとでの殺人は深刻な冒涜(ぼうとく)であり、神の名のもとでの差別は非人道行為だ」と述べた。

 法王の発言は、ナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」や、イスラム教の教義を急進的かつ冷酷に解釈し、カリフ制の国家樹立を目指してシリアとイラクで暴力行為を続けているイスラム国を非難したものと受け止められている。(c)AFP/Jean-Louis DE LA VAISSIERE, Calin NEACSU