【9月19日 AFP】訪米中のペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)ウクライナ大統領は18日、上下両院合同会議で演説し、ロシアが世界の安全を脅かしていると訴えた。ポロシェンコ大統領は同日、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領と会談を行うことになっているが、会談に象徴的な意味はあるにせよ、ウクライナが望む米国による安全保障の確約は取り付けられないとみられる。

 過去にはウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)元英首相やネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元南アフリカ大統領、シャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)元仏大統領らも演壇に立った両院合同会議の場でポロシェンコ氏は、ロシアの脅威が拡大しつつあると警告した。

 ポロシェンコ氏は、ロシアが後押しする代理戦争とウクライナ東部のクリミア(Crimea)半島に端を発した過激派の動きを封じ込めなければならないと呼び掛け、「もし今阻止しなければ、欧州諸国の国境を超え、世界中に広がるだろう」と指摘した。

 演説の途中で何度もスタンディングオベーションを受けたポロシェンコ氏は、北大西洋条約機構(NATO)に対してウクライナの防衛を強化するためウクライナに特別な地位を与えるよう求めた。

 ある米政府高官によると、米国はウクライナに対し、主に軍や国境警備隊に対する殺傷力のない装備の提供など4600万ドル(約50億円)相当の追加支援を行う見込みだという。その一方で米国は、NATO非加盟のウクライナに加盟国同様の地位が与えられればロシアは挑発と受け取るだろうという配慮から、それに向けた働き掛けは行わないものとみられる。

 またオバマ政権は、ウクライナに武器を供与してもロシアとの力関係に変化は生まれないという判断に基づき、ウクライナの軍事力強化のため武器を提供すべきという米議会の求めには応じないと予想されている。(c)AFP/Stephen COLLINSON