【9月18日 AFP】英北部スコットランド(Scotland)は18日、英国からの独立の是非を問う住民投票の日を迎えたが、現地ではスコットランド名物であるネス湖(Loch Ness)の怪獣「ネッシー(Nessie)」が果たして独立に賛成か、それとも反対なのかが、ちょっとした注目を集めている。

 発端となったのは、イングランド(England)北部の湖水地方(Lake District)にあるウィンダミア湖(Lake Windermere)で撮影されたという1枚の写真。恐竜のような首が長く背中の曲がった生き物が、木々の茂った湖岸近くを泳いでいる様子が写っている。

 ウィンダミア湖はスコットランドとイングランドの境界から南に約317キロ下ったところにある。写真の真贋(しんがん)を問う声をよそに、英大衆紙デーリー・メール(Daily Mail)は先週、隠遁生活好きのスコットランドの長年の住人が水かきで「独立賛成票に打撃を与えた」と伝えた。

「初めに銀行が独立国スコットランドを捨てると表明した。今やネス湖の怪獣も(スコットランドとイングランドの)境界線の南に移住したようだ」(同紙)

 また英大衆紙デイリー・スター(Daily Star)は、ウィンダミア湖でのネッシー目撃情報について「英国で最も有名な生き物は、既に決心したのではないだろうか」と報じた。

■専門家は大真面目に否定

 これに対し、怪獣の専門家でネス湖に関する著作もあるトニー・ハームスワース(Tony Harmsworth)氏は、一連のうわさについて「もちろん事実ではない」と指摘。「ウィンダミア湖は(ネス湖ほど)深くも広くもないし、水も冷たくない。食物連鎖も異なり、船の行き来はずっと多い。ネッシーにとって住み心地のよい環境だとは思えない」と、大真面目に否定した。

 さらにハームスワース氏は、ネッシーは「政治的動物」ではなく、もっと原始的な欲求で頭がいっぱいだとも語っている。

 ただ、本物とは思えないものの、ネッシーが尾で「NO」の形を作っているところを撮影したと主張する写真もある。

「1991年から専任のネッシー・ハンター」を自認するスティーブ・フェルサム(Feltham)氏は、一連の報道を「独立賛成キャンペーンをあしざまに伝えたい英国の新聞の最後のあがき」だと一蹴。「ネッシーはスコットランドの象徴の1つだ。スコットランドにまつわる謎であり、イングランドとは何の関係もない」「ネッシーが興味があるとしたら、ネス湖の独立だけだろう」と述べた。

 ネス湖では2011年以来、ネッシーの目撃情報がない。最後の目撃情報は、英政府がスコットランド議会に独立の是非を問う住民投票の実施を認める2か月前だった。(c)AFP/Edouard GUIHAIRE