【9月18日 AFP】超小型の矮小(わいしょう)銀河の中心に潜む「超大質量」ブラックホールを、ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)を用いた観測で発見したとの研究論文が、17日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。超大質量ブラックホールが存在する銀河としては観測史上最小という。

 論文によるとこの超大質量ブラックホールは、超小型ながらも非常に高密度で星が凝集している銀河「M60-UCD1」の中心部で発見された。同銀河は地球から約5000万光年の距離にある。

 M60-UCD1には約1億4000万個の星が詰まっているが、直径は天の川銀河(Milky Way)の500分の1に当たる300光年しかない。

 ブラックホールは、光さえも外に出られないほどの極めて強力な重力を持つ不思議な天体。超大質量ブラックホールはこれまで、天の川銀河を含む大型銀河の中心でのみ見つかっており、これほど小型の銀河で発見されたのは今回が初めてだ。

 今回の観測を行った天文学者チームは、同ブラックホールの質量を算出したところ、M60-UCD1銀河の全質量の15%に上るという結果が出て驚いたという。同ブラックホールは、太陽の2000万倍、天の川銀河の中心にあるブラックホールの5倍に相当する質量を持っていた。

 考えられる説明の一つは、M60-UCD1がかつて、はるかに大型の銀河の一部だったが、銀河が分裂してブラックホールを含む部分が残されたというものだ。

 もしこの説が誤りで、超コンパクトな矮小銀河の内部には一般的に超大質量ブラックホールが潜んでいるということが、さらなる観測によって判明した場合には、学説の再考が求められることになるかもしれない。

 今回の発見は、天の川銀河を含む宇宙の領域に、これまで推測されていた数の2倍のブラックホールが存在する可能性があることを意味すると、論文は指摘している。(c)AFP