【9月17日 AFP】欧州宇宙機関(ESA)は15日、彗星探査機ロゼッタ(Rosetta)が11月に予定している人類史上初となる彗星への着陸で、第1候補となっている地点を発表した。

 着陸が予定されているのは、ロゼッタが総距離60億キロに及ぶ10年越しの追跡の末、今年8月に並走飛行(ランデブー)した67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)。直径4キロのこの彗星は6.5年周期で公転している。

 ロゼッタは11月11日、彗星67Pに実験用着陸機「フィラエ(Philae)」を着陸させ、地表から深さ30センチまでの土壌調査を含む複数の研究を行う予定。現在67Pの上空30キロを周回しているロゼッタにはカメラやセンサーなど11台が搭載され、すでに目を見張るようなデータが得られているが、フィラエが搭載している10種類の計器により、今後の新たな発見に期待が集まっている。

 彗星67Pは、風呂に浮かべて遊ぶアヒルの玩具のように、2つの丸い物体が首でつながったような形をしている。この複雑な形状のため、着陸の難易度は高い。科学者らのチームは、得られることが期待される科学的データや着陸リスク、フィラエの動力源となる太陽電池に必要な太陽光の量などを考慮し、着陸地点としてA、B、C、I、Jの候補5か所を挙げた。このうち現在、最有力なのは、アヒルの額の部分にあたる「J」だ。

 宇宙物理学者たちによれば彗星67Pの「頭」と「胴体」部分を構成する氷とちりは、太陽系が誕生した約46億年前頃の非常に古いもので、地球から比較的近い距離の宇宙空間にある物質としては最古の部類に入るという。この「タイムカプセル」を理解することで、地球上の生命誕生の謎を解明する鍵がもう一つもたらされると期待されている。(c)AFP/Richard INGHAM