【9月16日 AFP】英銀行大手バークレイズ(Barclays)の富裕層向け資産運用部門バークレイズ・ウェルス(Barclays Wealth and Investment Management)が15日に発表した調査結果で、中国本土の超富裕層の半数が将来、本土からの移住を考えていることが明らかになった。

 バークレイズ・ウェルスが中国の富裕層の顧客2000人を対象に行った調査によると、約半数の47%が5年以内に本土外への移住を考えていると回答。調査では、「充実した教育や雇用機会など、子どもをめぐる理由が中国の富裕層を引き付ける主な要因」と分析された。

 移住先の候補として最も多く挙がったのが、半自治権を有している特別行政区の香港(Hong Kong)の30%。次いでカナダが23%だった。ただし、カナダは中国人富裕層に人気のあった投資移民ビザを今年すでに廃止している。

 中国経済は近年、二桁成長を遂げてきたが、ここへ来てその成長率に陰りが見え始めた。また同国の経済成長は、北京(Beijing)や上海(Shanghai)といった大都市を中心に、大きな「環境的犠牲」を伴っており、これも超富裕層に本土からの移住を考えさせる要因となっているという。

 一方、中国本土の富裕層からは移住希望先の筆頭に挙げられた香港だが、香港の富裕層で今後5年の移住を計画しているのは16%にとどまり、うち44%がシンガポールを、31%が中国本土を候補として挙げた。シンガポールの富裕層で5年以内の移住計画を持っているのは、23%だった。

 世界の超富裕層のうち、居住国が1か国にとどまっているのは57%で、20%が3か国以上に居住したことがあるという。(c)AFP