【9月15日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で、数十万人の子どもたちが新学期を迎えた14日、同地区で今年勃発した戦闘でイスラエル側の空爆により父親を失ったアズハルちゃん(9)は、父親への賛辞を表した詩を朗読した。

「お父さん、あなたに何と言えばいいのかな。愛しているという言葉じゃ足りません」。4年生になったばかりのアズハルちゃんは、涙を流すクラスメートの前で詩を読み上げた。アズハルちゃんはAFPに対し、「今日から新学期。お父さんは戦争で殉教してしまったけど、それでも嬉しい」と笑顔で語った。

 50日間続いた戦闘によってガザ地区は荒廃し、パレスチナ人2140人以上が死亡。アズハルちゃんらガザ地区の約50万人の子どもたちは、予定より3週間遅れで新学期を迎えた。校長や教師らは、新学期ではまず、多くの子どもたちが負った心の傷への対応に集中的に取り組みたいと話している。

 アズハルちゃんの父親は、シェジャイヤ(Shejaiya)地区への空爆により死亡。アズハルちゃんは、年下のきょうだい5人と共に孤児となった。

 アズハルちゃんは、イスラエル軍の戦闘機から投下されたミサイルに自宅を爆破され、父親が死亡した時のことを思い出しながら、「戦争が再開するかもしれないと思うと怖い」と話した。

 国連(UN)の推計では、今年度に「直接的かつ専門的な心理社会的支援」を必要とするガザ地区の子どもたちは37万3000人いる。同地区で245校を運営する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、教師らに専門的な訓練を提供してきた。

 ガザ地区の教育当局によると、イスラエルの空爆によって24校が破壊され、190校が部分的に損傷を受けた。ガザ地区では、人口約180万人の約45%が14歳未満とされる。

 イスラエルの人権擁護団体「Gisha」によると、建設資材の搬入をイスラエル政府が規制していることもあり、ガザ地区では今回の戦闘前にすでに259校の学校が不足していた。(c)AFP/Sakher Abu El Oun