【9月15日 AFP】バングラデシュの首都ダッカ(Dhaka)で14日、2010年の「世界トラ・サミット(International Tiger Conservation Forum)」で掲げた、2022年までに絶滅の危機にある野生トラの生息数を倍増させるとした目標の進捗情報を話し合う会議が3日間の日程で開幕した。会議には、野生のトラが生息する13か国を含む世界20か国から約140人の専門家と政府関係者が出席した。

 同会議が掲げるこの野心的な目標は、2010年にロシア・サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)で開催された国際会議「世界トラ・サミット」の参加20か国によって誓約されたものだ。

 専門家らによると、野生のトラの個体数は、約100年前には10万頭だったが、2010年には3200頭にまで激減。さらにそれ以降、密猟が危機的レベルに達し、野生トラに対する最大の脅威となったという。

 野生動物の取引を監視するNGO「トラフィック(TRAFFIC)」が発表の統計値によると、2000年1月から2014年4月までの14年あまりで確認された押収件数は1590件。この数字は、1週間に平均2頭のトラが押収されたことに相当する。

 一方で一部関係機関は、サンクトペテルブルクのトラ・サミット以降の4年間で、野生のトラが生息する主要な「トラ生息地」の国々では個体数の増加がみられ、ある程度の進展もあるとしている。

 世界的な野生トラ保護活動「グローバル・タイガー・イニシアチブ(Global Tiger Initiative)」計画を統括する、世界銀行(World Bank)のAndrey Kushlin氏は「インド、ネパール、ロシアなどの重要な国々で、トラの個体数にある程度の増加がみられている」と説明した。

 同氏によると、「生息地」が存在する13か国は今回の会議で、自国の野生トラの正確な個体数調査データを2016年までに提供することで合意する見込みだという。

 野生トラが生息する国は、バングラデシュ、ブータン、中国、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、ロシア、タイ、ベトナムの13か国。

 野生のトラは、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)により絶滅が危惧される動物に指定されている。個体数減少の主な原因としては、密猟、生息地の侵害、野生動物の不正取引などが挙げられている。(c)AFP