【9月8日 AFP】台湾で問題となっている違法な食用油が香港(Hong Kong)にも輸出されていたことが判明し、香港当局は8日、実態を調査中であることを明らかにした。これを受けて、香港の菓子店や飲食店では問題の油が使われた可能性がある製品を店から撤去する事態となっている。

 台湾では食用油製造大手「強冠(Chang Guann)」が、「使用済みの揚げ油やグリース・トラップ(厨房排水中の油脂を分離する装置)にたまった油脂などの廃油から作った再利用油、計243トンをラード(豚脂)と混ぜて台湾全土の飲食店などに販売していたことが判明し、食の安全についての懸念が広まっている。事件との関連で、7日に密造工場のオーナーらが逮捕された。

 この廃油が使われた再利用油の懸念が香港にも拡大し、食品当局は問題の油を使用した製品の有無についての調査を急いでいる。

 食物環境衞生署(Food and Environmental Hygiene Department)のフィリップ・ホー(Philip Ho)氏は香港ラジオRTHKに、すでに複数の飲食店などから製品を持ち帰り廃油使用の有無を調べていることを明らかにし、検査結果は数日内にも判明する見通しだと語った。

 さらに香港の食品安全性管轄当局、食物安全中心(Centre for Food SafetyCFS)よると、中秋節に欠かせない月餅についても、強冠の再利用油が使用されていないか確認中だという。

 こうしたなか、ある人気のケーキショップは強冠の食用油を使用していることが判明したパイナップルケーキの販売を6日から取りやめた。また、ある餃子専門チェーンもメニューからカレー餃子を外したと、RTHKが8日伝えている。ほかにも地元スーパーマーケットがバーベキューソースと麺製品1種を撤去した。

 CFSは、台湾当局と連携して、パン・菓子店、食用油や点心製造業者、台湾軽食店での検査を優先的に実施していると語った。

 このほかマカオ(Macau)の食品安全当局も、21の菓子店や食品製造業者が地元輸入業者を通じて強冠の食用油を購入していたことを明らかにしている。(c)AFP