【9月8日 AFP】ベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)のユダヤ博物館で発生した銃撃事件の容疑者が、シリアで仏人ジャーナリストの拘束や拷問に加わっていたことが分かり、専門家らはテロ攻撃に対する欧州の無防備さを示す事態だと警告している。

 5月24日の銃撃事件で4人を殺害したとしてフランスで身柄を拘束され、ベルギーに身柄を引き渡されたメディ・ネムシュ(Mehdi Nemmouche)容疑者(29)については、シリア過激派によって4月に解放されたジャーナリスト4人のうちの1人、ニコラ・エナン(Nicolas Henin)氏が先週末、自分たちの身柄を拘束していたイスラム過激派の一員だったことを明らかにした。

 フランス人ジャーナリストのエナン氏はかつて所属していた仏誌ルポワン(Le Point)電子版の6日の記事で、ネムシュ容疑者は2013年7~12月にかけて自分たちを見張っていた乱暴な監視係として恐れられていたと記している。

「ネムシュは歌っていないときは、拷問をしていた」「牢にやって来れば、近くの小部屋にいたシリア人捕虜50人余りが震え上がる(過激派側の)仏人グループの一員だった」「毎晩、私も尋問されたことのある部屋からでは激しい殴打が始まった。拷問は夜明けの祈りまで、一晩中続いた」

 ベルナール・カズヌーブ(Bernard Cazeneuve)仏内相は、仏紙ルモンド(Le Monde)の報道を受け、「ネムシュ容疑者が人質の看守役だったことを示唆する情報」がすでに情報機関から司法当局に渡っていることを認めた。

 ルポワン誌によればこれまでエナン氏は、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に現在も拘束されている欧米人らの安全を考慮し、自分が拘束されていた際のネムシュ容疑者の役割について沈黙してきたが、ルモンドの報道を受けて話す決意をしたという。

 エナン氏も一時一緒に拘束されていたことがあるという2人の米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー(James Foley)氏とスティーブン・ソトロフ(Steven Sotloff)氏はともに、英国アクセントの英語を話すイスラム国戦闘員によって斬首される様子が写された動画が公開されている。