【9月7日 AFP】男子テニスのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、全米オープン(The US Open Tennis Championships 2014)シングルス準決勝で錦織圭(Kei Nishikori)に敗れ、8度目の四大大会(グランドスラム)制覇で、選手としても個人としても充実したこの2か月間を締めくくることはできなかった。

 敗戦直後、ジョコビッチは「とにかく自分らしさが出せなかった」と話し、敗れた理由をあまり上手く説明できない様子だった。その一方で、先日の結婚と、父親となる瞬間が近づいている事実は、テニスにまったく影響していないと明言した。

「もちろん、妻とは連絡を取っている。もちろん、彼女の妊娠は僕にとっても自分のことだ」と話したジョコビッチは、7月に長年の恋人エレナ・リスティッチ(Jelena Ristic)さんと結婚しており、2か月ほどで第1子が生まれる予定となっている。

「だけど、試合や大会への準備の点で、いつもと変わりはなかった。全米オープンに全力を注いだし、すべてをこの大会へ振り向けていた。全力を尽くそうとしたし、実際にそうした。けれど今の僕のベストは、自分が望むレベルにない」

 ジョコビッチは、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2014)決勝でロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)とのフルセットを制して優勝を飾り、2013年10月7日以降、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)に譲っていた世界ランキング1位の座を奪い返した後、式を挙げた。

 ウィンブルドン制覇は、ジョコビッチにとって2013年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2013)以来のグランドスラムのタイトルで、本人は、キャリアで一番特別だと語っていた。

 しかし、ジョコビッチはそこを足がかりにできず、ロジャーズ・カップ2014(Rogers Cup 2014)とウェスタン&サザンオープン(Western and Southern Open 2014)ではともに3回戦で敗退すると、全米では6度目の決勝進出を錦織に阻まれた。

 今年のこの後の参戦予定と、子供の誕生との兼ね合いについて、ジョコビッチは明言するのは「早すぎる」とした一方で、自身のシーズンは「まだ終わっていない」とはっきりコメントした。

 とはいえ、来週12日からインドのバンガロール(Bangalore)で始まるデビスカップ(Davis Cup)のワールドグループ・プレーオフ、インド戦は欠場する可能性もある。

 ジョコビッチは「まあ、監督と話をして、インドへ行くかどうかを決めないといけない。今はまだ分からない」と話した。

 ジョコビッチはすでに、英ロンドン(London)で行われるATPワールドツアー・ファイナル(ATP World Tour Finals 2014)出場の資格を得ており、さらにドバイ(Dubai)で12月に開催される新設の大会、インターナショナル・プレミア・テニス・リーグ(International Premier Tennis LeagueIPTL)も出場が見込まれている。

 ジョコビッチは、勝利した錦織を祝福し、言い訳は口にしない一方で、もう一度気持ちを立て直そうとしていた。

 ジョコビッチは、両選手を苦しめた過酷な暑さと湿気について触れ、「今日みたいなコンディションでプレーするのは簡単じゃないけど、ケイはここまで、僕よりも長い時間コートにいた」とコメントした。

「僕はバランスを欠いていた。それが全体的な印象だ。とにかく自分のストロークが出せなかった。そういうことだよ。これがスポーツだ。今日は相手の方が良かったし、彼におめでとうと言わなきゃならない。ここから前へ進んで、去年にできるだけ近い良い形で今年を終われるようにしたい」

(c)AFP/Rebecca BRYAN