【9月5日 AFP】世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は4日、初めて自殺に関する報告書を発表し、世界全体では40秒ごとに1人が自ら命を絶っており、年間でみると戦争や自然災害による死亡者より多いと明らかにした。

 スイス・ジュネーブ(Geneva)で報告書を発表したWHOメンタルヘルス部門のトップ、シェカール・サクセナ(Shekhar Saxena)氏は、「自殺は驚くべき公衆衛生上の問題だ」と述べ、世界では毎年150万人が暴力によって死亡するが、うち80万人が自殺によるものだと語った。 自殺率が高いのは中欧、東欧、アジアで、全体の25%は富裕国で起きている。

 サクセナ氏は、世界全体でみると自殺が最も多いのは70歳以上だが、年代別の自殺率が若年層で最も高くなっている国もあり、自殺は世界の15~29歳の死因として2番目に多くなっていると述べた。

 報告書の執筆者の1人、アレクサンドラ・フライシュマン(Alexandra Fleischmann)氏は、先月11日に死亡しているのが見つかった米俳優ロビン・ウィリアムズ(Robin Williams)さんのような有名人の自殺の過剰な報道にも責任の一端があると指摘。「自殺を美化したりセンセーショナルに扱ったりしてはならない」と述べ、死因は自殺だったと伝えるのは記事の冒頭ではなく最後にすべきで、記事の中で自殺予防に取り組む支援団体などにも言及すべきだと述べた。

 同報告書は172か国を対象にした10年にわたる調査を基に作成された。

 2012年の自殺率は高所得国(10万人当たり12.7人)が中低所得国(同11.2人)よりやや高かったという。 最も自殺率が高かったのは南米ガイアナ(同44.2人)で、北朝鮮(同38.5人)と韓国(同28.9人)がそれに続いた。(c)AFP/Jonathan FOWLER