【9月1日 AFP】イラク軍は8月31日、イスラム過激派による2か月以上にわたる包囲を破り、北部サラハディン(Salaheddin)州の町アミルリ(Amerli)に進攻した。イスラム教シーア派(Shiite)トルクメン人の住民が多数派を占める同町では、数千人が孤立し、食料や水の供給不足が深刻化していた。

 イラク政府にとってアミルリ進攻は、6月にイラク北部5州の大部分をイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」率いる武装勢力に制圧されて以降、最大の勝利となった。

 イラクの過激派に対する空爆を3週間余り続けていた米軍は同日、その対象を初めて極北部外に拡大し、アミルリ周辺を空爆。また米英仏豪の4か国はアミルリに人道支援物資を投下した。

 アミルリでは食料と水の不足が深刻化するとともに、イスラム過激派が異端とするシーア派信仰と過激派への反抗を理由に住民に危険が及ぶ恐れがあり、国連事務総長のニコライ・ムラデノフ(Nickolay Mladenov)特別代表(イラク担当)は過激派による「虐殺」の可能性を警告していた。

 イラク治安部隊の報道官カセム・アッタ(Qassem Atta)中将はAFPの取材に対し、「わが軍はアミルリに入り包囲を突破した」と語った。この情報は、地元当局者とアミルリの戦闘員も確認した。

 またムスタファ・バヤティ(Mustafa al-Bayati)大佐は31日、アミルリの町は「完全に安全な状況にある」が、町の西方にある村々では戦闘が続いていると述べた。(c)AFP/Ammar Karim