アフリカから欧州へ輸出されるモバイル送金サービス
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【8月30日 AFP】アフリカの人々は長く、先進国で開発された技術を使ってきた。だが最近、ケニアの送金・決済ネットワークが欧州に進出した。
携帯電話を利用して送金・決済するシステム「M-Pesa」はアフリカ東部のビジネスの仕方を変えたが、そのシステムが今はルーマニアで拡大している。
「東アフリカから東欧へ、これはすごい現象だ」と、英携帯電話サービス大手ボーダフォン(Vodafone)のモバイルマネービジネスを統括するマイケル・ジョセフ氏はAFPに語った。「開発途上国で生まれたサービスが先進国へ拡大するという意味で、注目すべきだ」
アフリカ東部のスワヒリ語で「モバイルマネー」を意味するM-Pesaは、ケニアで2007年、同国通信大手サファリコム(Safaricom)がボーダフォンとの提携のもとにサービスを開始した。以来、目覚ましい成長を遂げ、ケニアだけでも流通総額は約400億ドル(約4兆1500億円)に上っている。
ケニアでは同サービスが日常の一部となっている。利用者は1800万人以上と、人口の3分の2近くに達し、1日に行われる取引は800万件を超える。
同ネットワークを使えば、従来の銀行での手続きを省くことができる。携帯電話の簡単なアプリを通じて、公共料金の支払いを行ったり、バーでのドリンク代を払ったり、家族や友人に送金することもできる。
■キャッシュ経済に恩恵
ルーマニアでは3月にサービスが開始された。首都ブカレスト(Bucharest)で働くエンジニアのミチ・カルストイウさんは、M-Pesaが既存のオンライン決済サービスを補足してくれると語る。「重要なのは時間を節約できること。さらに、手数料も安いと思う」とカルストイウさんは言う。
M-Pesaでは、特別なテキストメッセージを通じて、少しの手数料で、かなりの額を送金することができる。アフリカではすでにエジプト、レソト、モザンビーク、タンザニアなどで同システムが導入されており、インドにも進出した。銀行の口座のように、利子がつく預金サービスも開始されている。
このシステムがケニアで大きな成功を収めた理由は、銀行口座をもたず、同サービスがなければキャッシュ経済の中でしか経済活動ができなかった何百万人もの人々のニーズに応えたからだ。
■欧州への第一歩
ボーダフォンによれば、同サービスを利用した個人から個人への送金は、世界で毎月12億ドル(約1200億円)以上に上っている。ケニアでは1セントから最大1600ドル(約17万円)まで送金でき、ルーマニアでは最大9000ドル(約90万円)が可能だ。
新興市場を超えて進出するには当然、新たな挑戦も伴う。同サービスは異なる規制や、すでにさまざまな金融サービスがある環境に直面することになるだろう。
ナイロビ(Nairobi)でM-Pesaの店舗を経営するロダ・キブチさんは「ケニアで始まったテクノロジーが欧州に輸出されている。これは朗報だ」と語った。(c)AFP Reuben KYAMA with Anca TEODORESCU in Bucharest