【8月29日 AFP】デンマークの首都コペンハーゲン(Copenhagen)で28日、警察が不審者として行方を追っていた人物が、実は列車内でテロについての本を読みながら目前に迫った試験に神経質になっていた学生だったことが判明する出来事があった。

 コペンハーゲン警察はマイクロブログのツイッター(Twitter)に、「不審者がいるとの目撃情報があった。この男を見かけたら通報を」と投稿した。

 さらにこの男性を捉えた防犯カメラの写真3枚が一般公開された上、市中心部のコンゲンス・ニュートー(Kongens Nytorv)広場で不審なスーツケースが見つかったことから、警察の大規模な捜索についてのマスコミ報道が一気に過熱。男性は、「黒髪」で「ひげ面」の「中東系の容貌」と伝えられた。

 警察は捜索のきっかけとなった市民の通報について「信ぴょう性が高い」と述べていたが、その6時間後には、違法行為は認められず、容疑者は試験前で緊張していた学生だったことを認めた。

 容疑者とされたアリシブ・セラン(Alisiv Ceran)さんは、英国人の語学学生で、試験を受けるためコペンハーゲン大学(Copenhagen University)に列車で向かっていた。TV2テレビの報道によると、セランさんは車内で、授業で読むことが義務付けられている「対テロ戦争(War on Terror)」という題名の本を読んでいたという。

 すると、試験に使う予定だったプリンターがセランさんのかばんから落ち、そのせいでセランさんの焦りは一層増大。その様子を見て不安になった乗客が、警察に通報した。

 セランさんは、プリンターが壊れてしまったため、テストの答えを全て手書きしなければならないと思い、不安になったと話している。

「同じ列車に乗っていた女性へ。怖がらせてごめんなさい。今度からもう少し笑顔でいるようにします」(セランさん)

 自分の写真が報道されているのを見たセランさんは、市民に襲われることを恐れて公衆トイレに隠れたという。

 一方、警察の捜査官は記者会見で、「われわれは過剰反応したとは断じて思っていない」と述べている。(c)AFP