【8月28日 AFP】2010年に多数の死傷者を出した反政府デモ隊と治安部隊との衝突をめぐってアピシット・ウェチャチワ(Abhisit Vejjajiva)元首相とステープ・トゥアックスバン(Suthep Thaugsuban)副首相が殺人と権力乱用の罪で起訴されていた件で、タイ刑事裁判所は28日、2人に対する公訴を棄却した。

 アピシット政権下の2010年、タイの首都バンコク(Bangkok)ではタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相を支持する「赤シャツ隊(Red Shirt)」による抗議デモを、治安部隊が実弾を用いて鎮圧し、多数が死傷した。デモの参加者の多くは武器を持っていなかった。

 検察側は、当時、首相と副首相だったアピシット氏とステープ氏が発令した命令が結果的に治安部隊による殺人や殺人未遂を招いたとして、2人を起訴した。一方、アピシット元首相側は起訴事実を否定していた。

 これについてバンコクの刑事裁判所は28日、衝突が発生した当時、アピシット氏とステープ氏は政治職にあり非常事態宣言下での行動であることから、2人を裁く司法権限は同裁判所に属さないとし、2人に対する2件の罪での起訴を却下。本件を裁く権限を有するのは最高裁判所の政治職者刑事訴訟部のみとした。(c)AFP