【8月28日 AFP】世界的に著名な英国の覆面ストリートアーティスト、バンクシー(Banksy)の壁画が、経営難に陥っていた歴史あるユースクラブ(青少年支援施設)を閉鎖の危機から救った。この施設の壁に描かれたバンクシー作品が、40万3000ポンド(約6900万円)で売れたのだ。

「モバイル・ラバーズ(Mobile Lovers)」と題されたこの作品は、1組のカップルが互いを抱き締め合いながら、それぞれ自分の携帯電話の画面を見ている様子を描いたもの。英南西部の港湾都市ブリストル(Bristol)にある120年の歴史を持つユースクラブ「ブロード・プレーン・ボーイズクラブ(Broad Plain Boy's Club)」の壁に今年4月、登場した。

 作品は木の板に描かれ、同クラブの壁にねじ止めされていたため、クラブ側は作品を壁から外し、売却することができた。

 クラブを所有するデニス・スティンチクーム(Dennis Stinchcombe)氏が27日の記者会見で明かしたところによれば、経営難に陥っていた同クラブはあと1年も経たずに閉鎖に追い込まれるところだったという。

 バンクシーは、スティンチクーム氏宛てに手紙を送り、壁画の所有権がクラブにあることを保証。壁画は、クラブ存続に必要な資金の実に3倍以上に上る高値で個人コレクターに売却された。

 クラブの会員たちは、バンクシーの作品があった壁を「ありがとう、バンクシー」と記した壁画で飾り、感謝の気持ちを示している。

 バンクシーはクラブのあるブリストルで活動を開始したとされるストリートアーティストだが、素性や経歴は一切、明かされていない。(c)AFP