【8月28日 AFP】チンパンジー、ヒヒ、イヌ、人間などに共通する「もらいあくび」がオオカミにもみられるとの研究論文が、27日の米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に発表された。動物間の「共感」が共通特性の1つであることを示唆する結果だという。

 東京大学(University of Tokyo)の研究チームが行った研究は、東京・日野市の多摩動物公園(Tama Zoological Park)で飼育されているオオカミ12匹の群れを対象としたものだ。

 研究チームは5か月間、254時間にわたってオオカミの行動を観察し、群れの1匹があくびをした際に、そばにいるオオカミに何が起きるかを調べた。

 論文によると、群れの別のオオカミのあくびに「観察対象のオオカミが直面すると、あくびをする頻度が著しく増加した」という。

「オオカミに見られるあくびの伝染は、最初にあくびをするオオカミとの社会的関係の強さに影響を受けている。社会的関係がより親密にある個体によるあくびの方が、他の個体のあくびよりも、あくびを誘発する回数が多い」

 今回の研究は、対象としたオオカミの数は少ないが、もらいあくびがオオカミの「共感する能力」に関連していることの最初の証拠を提示するものだと研究チームは話している。

 論文の主執筆者で、東京大学の研究員のテレサ・ロメロ(Teresa Romero)氏は、共感能力はこれまで考えられていたよりも多くの動物種に存在しているのかもしれないと指摘し、「オオカミでは、霊長類やイヌと同様、特に近しい間柄であくびが伝染する」と説明した。

 また「もらいあくびは、祖先から受け継いだ共通特性の1つで、他の哺乳類とも共通している。このような能力は個体間の情緒的な結びつきを示すものであることを、今回の結果は示唆している」と付け加えている。(c)AFP