【8月26日 AFP】インドの医師団は「世界最長の子宮外妊娠」とされる例で、母親の体内に36年間残存していた胎児の骨格を摘出する手術に成功した。

 現在60歳のこの女性が妊娠したのは24歳のとき。しかし、子宮外妊娠だったため胎児は死亡した。女性はインド中部の貧しい農村地帯の出身で、体内に残った胎児の遺体を摘出する手術を怖がって拒否し、地元の医院で痛み止めの薬治療を受けるにとどまった。痛みは徐々に消えていったが、最近になって女性は腹部の痛みを訴えた。

 手術が行われたのは、マハラシュトラ(Maharashtra)州ナグプール(Nagpur)にあるNKPサルブ・インスティテュート医科学研究センター(NKP Salve Institute of Medical Sciences & Research Centre)。25日、AFPの取材に応じた執刀医のムルタザ・アクタル(Murtaza Akhtar)医師によると、来院した女性の右下腹部には塊があり、がんの可能性を恐れたが、スキャン診断を含めさらなる検査を行ったところ、これが石灰化した塊であることが判明した。

 アクタル医師は「スキャン結果を見たときに、われわれは何に対処しようとしているのか分からなかった。それは石灰化した嚢(のう)に包まれた胎児の骨格だったからだ」と語った。石灰化した塊は女性の子宮と腸、ぼうこうの間に位置していたが、医師団は無事、その除去に成功した。

 ナグプールの医師団が医学文献を調査したところ、こうした例はほとんどなく、これまでに記録があった最長期間はベルギーの女性で18年間だった。(c)AFP